「六月のシグナル」 2014.6.22 update
甘く淡い岩鐘とストロボのようにゆれる水の流れ。
この早い青の季節に
僕は雲の上の宇宙とひそかに交信を重ねる。
赤や橙や青のシグナルは交互に私の透明な体を行き来して
宇宙の本当はどこにでもある簡単な法則を僕に伝えようとしている。
光の層は瞬く間に大地に優しく被り、
その層序の中で新緑の芽でできた青い草原風景の中を
ひとりエーテル体となって歩いている。
少しも不思議な動物たちは、透明なパステルカラーの守護神たち。
その柔らかな目と口と耳で、この風景に文字と言葉を残している。
花の香りは小川の流れに誘われて下流へと流れてゆくし、
その上流には気層の霧の中、カラフルなエーテルのしゃぼん玉が
生まれては消えているんだ。
少しも小さな小さな私は、その風景の中では小さな小枝のようであり、
ただ大きな意思の成すがままに、微かにかすかに揺れている。
小さなるものの中に
(それは私という枝の先の一部)
大きなるものがあり、
大きなるものは、さらに大きなるものの中の小さきものである。
繰り返され、育っては伸びて枝を伸ばしてゆく。
そのフラクタルという実相世界について、
僕はまだ詳しく知るよしもないので
ただこの繰り返される草原と樹木の日々を眺めていようと思う。
気がついて見れば
赤と橙と青のシグナルは
六月の気層の青空に消えていった。